犬と猫の中毒⑤ 解熱鎮痛剤(NSAIDs)中毒

スポンサーリンク

「犬や猫の体を触ったら熱い…解熱剤を飲ませなきゃ!」
「うちの子は体が小さいから半粒くらい飲ませてみよう」
なんてことはしていませんか?

また、机の上に置いておいた風邪薬を知らない間に飲んでしまったなんてこともありませんか?

実はこれ大変危険なんです。犬や猫は人に比べて消炎鎮痛剤に弱く、ヒトの風邪薬や解熱剤で中毒を起こして命を落としてしまうこともあるんです。今回は犬と猫への消炎鎮痛剤の危険性と飲んでしまった時の対処法を見ていきましょう。

犬 猫 解熱鎮痛剤 風邪薬 解熱剤 中毒 

消炎鎮痛剤の有効成分はNSAIDs

解熱剤・風邪薬などの消炎鎮痛剤には、消炎成分として、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:エヌセイズ)が含まれています。NSAIDsは炎症を抑える働きが非常に強く、解熱・痛み止め・のどや鼻などの炎症を抑えるなどの目的でよく使われる薬です。

風邪薬の成分として「アセトアミノフェン」や「イブプロフェン」「インドメタシン」などという名前を聞いたことがあると思いますが、これはすべてNSAIDsです。また、頭痛薬に良く含まれる「アスピリン」や「ロキソニン」もNSAIDsの一種です。

スポンサーリンク

NSAIDsの作用はCOXの抑制

NSAIDsはシクロオキシナーゼ(COX)を阻害することで、炎症物質であるプロスタグランジンの産生を防ぐ働きがあります。プロスタグランジンが減ることで炎症が軽減され、鎮痛・解熱作用をが発揮されます。

ただし、COXは体の正常な機能を維持するために重要であり、COXの中でも特にCOX1と呼ばれる物質は胃の粘膜の防御機能や腎臓の血流を維持するために重要な物質になります。また、NSAIDsは肝臓で代謝されて無毒化されますので、肝臓へ強い負担がかかることもあります。

犬や猫にはCOX2選択的阻害薬が必要

NSAIDsはCOX1・COX2のどちらも阻害しますが、COX1は生体にとって有用な作用が多いのです。NSAIDsの代謝能力は動物によって異なりますが、ヒトに比べ犬や猫では非常に弱くなっています。つまり、犬や猫ではNSAIDsによる副作用が出やすいため、COX2を選択的に阻害するNSAIDsを投与する必要が高いのです。

実は、人の鎮痛剤や風邪薬に使われるNSAIDsの大部分はCOX1もCOX2もどちらも強く阻害してしまうものが多いです。そのため、犬や猫にヒト用の解熱鎮痛薬を飲ませると副作用のリスクが高いんですよ。

犬や猫には動物用の解熱鎮痛剤を

犬や猫ではNSAIDsの副作用が出やすいため、犬や猫用に以下のようにたくさんの種類のNSAIDsが出ています。

成分名 商品名 注射 内服
メロキシカム メタカム
カルプロフェン リマダイル △(日本では認可外)
ロベナコキシブ オンシオール
フィロコキシブ プレビコックス × ×

犬や猫にNSAIDsを使う場合はこれらの薬剤を使うことで安全性はかなり高まります。ただし、腎不全・肝不全の動物や脱水・食欲不振などがある動物では薬用量を守っても副作用が出る可能性が高くなるので、必ず獣医師の指示の下で飲むようにしてください。

NSAIDs中毒の症状

NSAIDsは胃腸・腎臓・肝臓に負担をかけることが多いです。

スポンサーリンク

胃腸:胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃腸への副作用として、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が起こることがあります。食欲不振や嘔吐、下痢さらに進行すると、吐血や血便、重度の腹痛などが出てくる可能性があります。これらの症状は飲んですぐに出る訳ではなく、数日以内に出てしまうことがあるので、しばらくは注意が必要です。

腎臓:急性腎不全

NSAIDsは腎臓の血流量を下げてしまうため、中毒により乏尿性の急性腎不全(尿量が異常に少なくなる急性腎不全)が起こることがあります。特に

  • 腎不全患者
  • 脱水
  • 低血圧(利尿剤などとの併用)

があると、急性腎不全のリスクが高くなります。犬より猫の方が腎不全に注意が必要です。

症状としては、乏尿(尿量が少なくなる)ののちに、食欲不振、嘔吐、元気廃絶などが起こってきます。急性腎不全は1~2日のうちに命の危険がある緊急状態です。できるだけ早く病院で診てもらう必要があります。

肝臓:急性肝障害

肝障害は、用量の問題もありますが、その犬や猫の体質や肝臓の強さによって起こるかどうかが決まることが多いようです。特異体質による肝障害の場合は、通常用量を使っていても非常に強い肝障害が出てしまうこともあります。

肝障害の症状は食欲・元気の低下など非特異的なものが多いですが、白目が黄色くなったり尿の色が濃くなるなど黄疸の症状が出た場合は、肝障害の可能性が高くなります。

NSAIDsを飲んでしまったら

①飲んで1~2時間以内:催吐処置

飲んで1~2時間以内なら催吐処置によってできるだけ薬剤を吸収させないようにすることができます。飲んでしまった薬の箱やシートを持って、動物病院をすぐに受診しましょう。

②飲んで数時間~1日:点滴・薬の投与

NSAIDsを飲んでしまって数時間以上たってしまっている場合、すでに薬のほとんどを吸収してしまっていることが予想されますので、催吐処置の効果はあまりありません。その場合は、できるだけ内臓を保護することと、薬剤の成分が早く体外へ排泄されるように、点滴を行います。

飲んだ量がかなり多い場合や、胃腸の出血が予想される場合、血液検査で肝臓や腎臓の数値が上がってきている場合は入院して点滴することもあります。少量飲んだだけで中毒症状が出ていない場合は、外来の点滴で様子を見ることもあります。

点滴と同時に胃の保護のための粘膜保護剤やH2ブロッカー、肝臓のための強肝剤などを使うことも多いです。

③1日以上たっても症状がない場合

消炎鎮痛剤を飲んで1日以上たっても症状がない場合は、中毒が起きていない可能性も高いですが、肝臓や腎臓にじわじわとダメージがある可能性も否定できません。症状がなくても血液検査で肝臓や腎臓などの数値を診てもらい、治療の必要があるかどうかを診察してもらうことをおすすめします。

スポンサーリンク

まとめ

犬や猫にヒトの消炎鎮痛薬(解熱剤・風邪薬)を与えるのは非常に危険です。人の場合は医師の診察なくても購入できる一般薬ですが、犬や猫には注意が必要な薬ですので、自分の判断で薬を飲ませないようしましょう。もし、間違って飲ませてしまった(飲んでしまった)場合は、すぐに動物病院に相談するようにしてくださいね!

にほんブログ村 犬ブログへ ポチっとm(__)m