犬と猫の中毒④ 殺鼠剤中毒

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犬と猫の中毒、第4回目は殺鼠剤(さっそざい)中毒です。ネズミを殺すための殺鼠剤には、血が止まらなくなる抗凝固剤(こうぎょうこざい)が入っており、ネズミが食べると出血が止まらず失血死します。犬や猫が殺鼠剤を食べたり、殺鼠剤を食べたネズミを食べることで起こるのが殺鼠剤中毒です。

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殺鼠剤は犬や猫にも毒性を持つ

殺鼠剤はネズミだけでなく犬猫を含んだすべての動物に毒性があります。殺鼠剤はネズミが好むように、小麦や糖類の風味が付いているため、犬や猫も好んで食べてしまうことがあります。

殺鼠剤には「クマリン系抗凝固剤」が含まれている

殺鼠剤の有効成分は、「クマリン系抗凝固剤」と呼ばれる薬剤であり、この薬の作用により血液が止まりにくくなります。出血が止まるためには、血液の塊である血餅(かさぶたの成分)が作られる必要がありますが、子の血餅を作るのに必要なのが、「血小板」と「凝固因子」です。

クマリン系抗凝固剤は、ビタミンKを阻害します。ビタミンKは血液凝固因子の第II、第VII、第IX、第X因子と呼ばれる酵素を作るのに必要な栄養成分であるため、これらの凝固因子の活性が落ちてしまい、出血を止めるための血餅(かさぶた)ができなくなり、血が止まらなくなるのです。

殺鼠剤の中毒量

殺鼠剤に使われるクマリン系抗凝固剤にはワルファリンなどの第一世代、ジフェチアロールなどの第二世代の2種類があります。

第一世代:ワルファリン

昔から使われている殺鼠剤には、第一世代クマリン系凝固役であるワルファリンが含まれています。こちらの殺鼠剤の毒性はそれほど高くなく、犬猫とも体重1㎏当たり5~50㎎以上のワルファリンを食べると中毒が出てくる可能性があると言われています。また、犬や猫では5日間連続で体重1㎏あたり1mgのワルファリンの摂取によっても中毒が出る可能性があると言われています。

第二世代:ジフェチアロール・ブロディファクムなど

殺鼠剤の普及とともに、ワルファリンなど第一世代のクマリン系抗凝固剤に耐性を持った「スーパーラット」が増えてきました。このスーパーラットにはワルファリンの効果があまりないため、それ以上に強力な第二世代クマリン系抗凝固剤として、ジェフェチアロールやブロディファムクなどを含む殺鼠剤が普及してきました。これらの薬剤はワルファリンより強力であり、ジェフェチアロールの致死量(LD50=約半数が死ぬ量)は犬で体重1㎏あたり4~11.8mg、猫で体重1㎏あたり16mgだと言われています。

殺鼠剤中毒の症状

殺鼠剤中毒は、
殺鼠剤の摂取→ビタミンKの阻害→凝固因子の不足→出血→出血が止まらない
という経路で起こるため、食べてすぐには出てきません。通常、殺鼠剤を摂取して1~3日後に症状が出て来ると言われています。

症状は、出血がメインです。どこに出血が起こるかはその動物によって異なり、鼻出血・口腔出血・皮下出血・黒色タール便・吐血・眼底出血などとして出血が認められます。

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殺鼠剤中毒の診断/検査

殺鼠剤中毒を診断するためには、殺鼠剤やネズミを食べた経歴と出血傾向が重要です。動物病院での検査では、「凝固系検査」によって止血時間(PT・APTTなど)が延長していることを確認します。ただし、凝固系検査ができる動物病院は限られています。実際には、病歴と症状から殺鼠剤中毒を疑って治療することも多くなります。

殺鼠剤中毒の治療

殺鼠剤中毒の治療で最も効果的なのは、飲んですぐに吐かせることです。特に中毒量以上の殺鼠剤を飲んでしまったり、殺鼠剤で失血死したネズミを食べてしまったことがわかっている場合には、できるだけ1時間以内に吐かせてしまうことが大切です。3時間以上たってしまっている場合には、すでに多くの薬剤が吸収されてしまっている可能性が高く、催吐の効果があまり期待できません。

すでに吸収してしまっている場合やすでに症状が出てしまっている場合には、ビタミンKの補給によってできるだけビタミンKを体の中で使えるようにします。ビタミンKは注射でも飲み薬でも補給できますが、最初はできるだけ早く補う必要があるため、ビタミンKの注射を選択することが多いです。

経過が安定していれば数日~数週間ビタミンKの飲み薬を使うことが多いです。ビタミンKを飲ませる場合には、空腹時に飲むのではなく、脂肪を含むフードとともに食べさせることが大切です。脂肪と一緒に取ることで、ビタミンKを腸管から効率よく吸収して体で使うことができるようになります。

まとめ

殺鼠剤はネズミにだけ毒性のあるものではありません。ネズミに比べ体が数倍・数十倍ある犬や猫では命に関わるほどの中毒が起こることは稀ですが、大量に食べてしまった場合は危険なこともあります。殺鼠剤を使っているお家の人や、外で何か食べてしまう犬や猫を飼っている人では、必ず殺鼠剤中毒に注意しておいてくださいね。

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