犬のフィラリア症④ フィラリア症の治療

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前回の記事でフィラリア症の症状には「慢性症状」と「急性症状」があるということをご説明しました。今回は、その症状ごとにどのような治療をしていくのかをご紹介します。

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フィラリアの成虫は殺すことはできない

フィラリアの成虫は体調10㎝~30㎝、太さ1.5㎜ほどの長細い虫です。成虫は心臓と肺を結ぶ「肺動脈」という場所に棲んでいるため、薬でフィラリアを殺した場合、虫が一気に肺の方へ流れていってしまい、肺の血管が詰まってしまいます。そのため、フィラリアの成虫を殺すと犬自身の命も危険にさらされてしまうため、フィラリアの成虫は殺すことができないのです。

慢性フィラリア症の治療

慢性フィラリア症の治療の目的は以下の通りです。
・これ以上フィラリアに感染しないよう感染予防する
・フィラリア成虫の寿命を縮めるための対策を取る
・慢性心不全を引き起こしてしまっている場合は、心不全の治療を同時に行う

これ以上フィラリアに感染しないよう感染予防する

フィラリア陰性犬と同じようにフィラリアの薬を飲んでいきます。予防に関してはこちらの記事をご覧ください。ただし、フィラリア陽性犬で、フィラリア成虫が「ミクロフィラリア」というフィラリアの幼虫を産んでいる場合、フィラリア予防薬でショックを起こす可能性があります。フィラリア予防の際にはショック予防薬を飲ませる必要があるので、動物病院の指示に従ってください。

フィラリア成虫の寿命を縮めるための対策を取る

つい数年前まで、「フィラリア成虫は殺すことができず、フィラリアが寿命(3~5年)で死ぬ無まで待つしかない」というのが常識でした。今もフィラリアを殺すことは危険すぎてできませんが、フィラリアの寿命を短くする方法が提案されてきています。寄生虫であるフィラリアにさらに寄生する細菌「バルバキア」に対する治療ですが、この方法は少し複雑なため、次回の記事にしますので、興味のある方はご覧ください。

慢性心不全を引き起こしてしまっている場合は、心不全の治療を同時に行う

フィラリアが感染して数年すると心不全を引き起こします。その症状が咳や腹水です。フィラリア感染しているから必ずしも心不全を起こしているということではありませんが、心不全を起こしている子の場合は、心不全の治療薬を飲ませてそれ以上心臓が悪くならないよう治療していきます。

腹水は、溜まりすぎて食欲が落ちたり呼吸が苦しくなる場合は抜いてあげた方がいいですが、溜まっているからという理由だけで抜く必要はありません。

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急性フィラリア症(ベナケバシンドローム)の治療は「フィラリア釣り出し術」

フィラリアが肺動脈と右心室をさかのぼって三尖弁に絡みつく「ベナケバシンドローム」ですが、この治療は「フィラリア釣り出し術」です。

頸静脈から器具を入れてフィラリアを釣り出す

フィラリア釣り出し術は、全身麻酔をかけ、首にある「頸静脈」を一部切開して、「アリゲーター鉗子」という細い器具を頸静脈から心臓へ入れていき、三尖弁に絡んでいるフィラリアを取り出すという手術です。この手術で取り出せるフィラリアは三尖弁に絡んでいるものだけですので、肺動脈にいるフィラリアは残ったままになります。

ベナケバシンドロームの死亡率は高い

ベナケバシンドロームの致命率はかなり高く、手術前や手術中、手術後に亡くなってしまうことも少なくないです。うまく治療が成功すると、元通りに元気になりますが、三尖弁は傷ついているため、心不全の治療が必要になります。上に書いた慢性フィラリア症の治療が引き続き必要になります。術後数日~数か月で、残っているフィラリアが再度ベナケバシンドロームを起こすこともあります。

若い獣医師よりベテランの獣医師の方が得意

一昔前は、フィラリア症の犬が当たり前で、ベナケバシンドロームも年に何回も遭遇する病気であったため、ベテラン獣医師はこの手術を得意としています。一方で若い獣医師は、ベナケバシンドロームに遭遇する機会が非常に少なく、器具も持っていないため、「釣り出し術」を行うことができない病院も多いです。

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まとめ

フィラリア症はとにかく予防が大切ですが、かかってしまっている場合は、それ以上心不全を進めないことと、ベナケバシンドロームにならないよう治療が必要です。なかなか治療方法が進んでこなかったフィラリア症ですが、最近ボルバキアをターゲットにした治療が進み始めていますので、次回の記事にしたいと思います。

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