腎不全シリーズ② お家でできる!犬と猫の腎不全の初期症状「多飲多尿」に気付く方法!

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猫用慢性腎不全治療薬「ラプロス」の承認が下り、4月にも販売になるようです(ラプロスに関する記事はこちらを参考にして下さい)。このラプロスは猫のCKDステージ2~3の治療薬であり、腎不全末期のステージ4は対象外です(ステージ分類に関してはこちらの記事を参考にして下さい)。今後犬用の認可が下りる可能性も十分ありますが、その場合、同じような形で降りるのではないかと思います。

どんな病気でも早期発見早期治療が一番ですが、ラプロスが販売されることで、腎不全の早期発見の重要性はさらに高まることが予想されます。今回は、お家でわかる腎不全の初期症状「多飲多尿」の気付く方法や工夫をまとめておきます。特に高齢のわんちゃん・猫ちゃんを飼っている飼い主さんは参考にしてくださいね。

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多尿に気付く方法

多尿の症状

慢性腎臓病(CKD)の初期、ステージ1では腎臓の尿濃縮能が低下するが、老廃物が体にたまらないという状態です。腎臓の機能に関しては前回の記事「犬と猫の腎臓の働きとBUN、Cre、尿比重の意味」をご覧ください。

腎臓の濃縮能が低下するということは、必要な水分も一緒におしっことして出ていってしまうということですので、尿の量が増える「多尿」という状態になります。多尿となると

  • 尿量が増える(尿の1回量や尿の回数が増える)

⇒トイレを変える回数が増える、濡れている砂やシーツの範囲が多くなる

  • 尿の色が薄くなる
  • 尿のにおいが無臭に近づく

という状態になります。「尿の量が増えれば普通気付くよ」と思っている飼い主さんも多いようですが、尿の濃縮能は突然低下するわけではなくじわじわ低下しますので、それに伴って、尿量も少しずつ増えます。通常、数週間・数カ月単位で起こりますので、尿量の変化に気付きにくいです。尿の色や匂いに注目しておくのも大切です。

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多尿をチェックしてみよう

お家で尿をする動物なら、一度、ペットシーツやトイレ自体の重さ・砂の重さを24時間で量ってみてください。する前の重さとした後の重さを比べることで尿量がわかります。

正常な動物の尿量は以下の通りだと言われています。

1日の正常な尿量の目安
体重1㎏あたり ~50ml ~30ml
体重5㎏の動物 ~250ml ~150ml

薬を飲んでいたり、水分が多いご飯を食べていると基準値より多くなることもありますが、上の表より尿量が多い場合は多尿の可能性が高くなります。

多飲に気付く方法

多飲の症状

尿量が増えて尿へ出ていく水分が増えると、体が脱水しないように本能的に飲水量が増えて、多飲になります。つまり、多尿があって体が正常に反応すれば多飲になります。

飲水量も尿量と同じくじわじわ増えてきますので、多飲状態なのかどうかの判別も意外と難しいです。尿量に比べると、飲水量は測定しやすいので尿量がわからない場合は飲水量を測るようにしましょう。

多飲をチェックしてみよう

朝水を入れた容器の重さを測り、夜に測った重さを引いて昼の飲水量を計算します。同じように水を入れて重さを測定し、朝また水の重さを測って夜の分も測定します。合計したものが1日の飲水量の合計です。

正確に測りたい場合は、蒸発量する量を水が減った量から引く必要があり、もう一つ同じ器を買って1日でどれくらい蒸発するかを調べますが、蒸発量はあっても5~10mlですので、それほど気にする必要はないでしょう。

一般的にウェットフードを食べていると食事中から水分がたくさん取れるので、飲水量の上限は少なくなります。フードの種類によっても水分含有量は違いますが、ウェットフードを食べている動物では飲水量はドライフードの半分以下になると考えておいた方がいいでしょう。以下に正常な犬・猫の飲水量の目安を載せておきます。

1日の正常な飲水量の目安
体重1㎏あたり ドライフード ~100ml ~50ml
ウェットフード ~40ml ~20ml
体重5㎏の動物 ドライフード ~500ml ~250ml
ウェットフード ~200ml ~100ml

多飲多尿を起こす他の病気

多飲多尿は慢性腎臓病以外にもたくさんの病気で起こります。以下に多飲多尿が起きた場合に、考えられるCKD以外の病気を羅列しておきます。よく見る病気順にしておきます。

犬の多飲多尿で多い病気
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
糖尿病
子宮蓄膿症
薬の影響(ステロイド剤、利尿薬など)
肝不全
高カルシウム血症(悪性腫瘍や状飛翔体機能亢進症)
副腎皮質機能低下症(アジソン病)
尿崩症

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猫の多飲多尿で多い病気
糖尿病
甲状腺機能亢進症
薬の影響(ステロイド剤、利尿薬など)
肝不全
高カルシウム血症(悪性腫瘍や状飛翔体機能亢進症)
尿崩症

多飲多尿かなと思ったら、まずは尿量もしくは飲水量を測ってみて、異常があればCKD以外にも以上の病気が疑われるので、病院で診てもらうことが大切ですね。

多飲多尿と見極めておきたい症状:頻尿と排尿障害

多飲多尿と以下の二つは全く違うもので、原因も異なるので、しっかり見極めましょう

頻尿

多飲多尿と同じくトイレに行く回数は増えますが、頻尿は1回の尿量が通常少なくなります。また、トイレの回数は多飲多尿よりも圧倒的に多くなります。ちょこちょこトイレに行っているのに尿が少ししか出ないというのが頻尿です。

頻尿のほとんどは腎臓ではなく、膀胱炎や膀胱結石などの膀胱の病気になります。

排尿障害

排尿障害では、うまく尿を出すことができず、排尿時間が長くなることが多いです。多飲多尿でもたくさんおしっこをするためにトイレの時間が長くなりますが、トイレの時間が長い場合は排尿障害の可能性も頭に入れておいた方がいいでしょう。

排尿障害は、排尿に関わる神経あるいは、膀胱や尿道などの尿を出すときの通路に異常があります。

神経の異常では、椎間板ヘルニア交通事故などが良くみられる原因です。通路の異常は、結石や栓子による尿路閉塞(オス猫に多く、オス犬でも時々見らえる、メスではまれ)、前立腺肥大(未去勢のオス犬)、前立腺腫瘍(オス犬)、膣腫瘍(未避妊のメス犬)、尿道腫瘍膀胱三角部の腫瘍などが原因として見られます。

また、避妊済みのメス犬(特に大型犬)ではホルモン性の尿失禁が起こることもあります。尿漏れがある場合も多尿状態だけではなく、排尿障害の可能性も考えておいた方がいいでしょう。

まとめ

動物医療の世界はまだまだ発展途上であり、今後も様々な治療薬が出てくる可能性が高いです。動物は寿命が短い分、病気の進行もヒトの数倍以上のスピードで起こります。せっかくいい薬が出ていても、すでにその薬を使えないくらいに病気が悪化してしまっていれば意味がありません。言葉をしゃべれない動物の病気の早期発見のためには、飼い主さんが早期の症状に気付いてあげる必要があります。

幸い、腎不全の初期症状、多飲多尿はお家で気付けるものの代表ですので、しっかり動物の状態を観察して、上に書いたようなチェック方法を行い、多飲多尿が疑わしい場合は早めに動物病院で診てもらいましょう。

慢性腎不全治療薬「ラプロス」の販売によって腎不全を持つ動物を高いQOLを保ちながら長生きさせることが可能になるかもしれません。そのためには、飼い主さんがしっかり愛犬・愛猫の様子を見て異常に気付いてあげることが大切ですね。わかりやすい「多飲多尿」は見逃さないようにしましょう!

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