腎不全シリーズ④ 腎不全の治療の柱!食餌療法の高い効果とその理由

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慢性腎不全にはさまざまな治療法があります。点滴、薬、サプリ、食餌・・・この中で最も効果があるのはどれかわかりますか?寿命を最も長くできるのは、実は食餌療法なのです。犬も猫も慢性腎臓病と診断されたらまずは食餌療法を始めることが大切です。今回は食餌療法の大切さとその意味を考えてみましょう。

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犬も猫も腎臓病の療法食だけで寿命が倍以上に!

まずは、こちらの表を見てください。

療法食 一般食 報告年 報告国
593日 188日 2002年 米国
633日 264日 2000年 英国

これは、慢性腎不全と診断された犬と猫それぞれに対する腎臓食と一般食を食べた際の生存期間の違いです。犬は38頭、猫は50頭の平均ですので、かなり信頼性のあるデータになります。どれだけ食餌療法が大切かわかるデータですね!

では具体的に、腎臓病食は一般職と何が違うのでしょうか?

腎臓病の療法食の特徴

1.たんぱく質を制限

炭水化物や脂肪と違い、たんぱく質の老廃物の大部分は腎臓からしか排泄されません。つまり、腎臓の機能が低下すると、たんぱく質の老廃物が溜まりやすくなってしまうのです。血液検査で調べる「BUN」もたんぱく質の老廃物ですし、腎不全の動物の体にたまって食欲不振や吐き気などをもたらす尿毒症物質の多くはたんぱく質の老廃物です。

たんぱく質を制限することで、腎臓への負担を減らすとともに、尿毒症物質の貯留を減らして生活の質(QOL)を上げることができます。

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2.塩分を制限

腎不全の動物は、血圧が上昇傾向になっていることが多いです。これは、腎不全により血圧の低下やGFR(糸球体ろ過量、詳しくはこちらの記事を参照)が低下すると、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系と言われる経路が活性化して、血管の収縮などから腎臓にかかる血圧を上げるように働くためです。

血圧の上昇はGFRを上げるためには重要ですが、弱った腎臓にさらに負担をかけたり、心臓への負担も増やしてしまいます。塩分をたくさん取ると、体に水分を貯めてしまい、余計に血圧を上げて腎臓への負担を強くしてしまいます。塩分を制限することで血圧が上がりすぎないようにすることも腎臓の保護になり、慢性腎不全の予後の改善には大切です。

血圧に関しては、ACE阻害薬(エースワーカーなど)やARB(セミントラなど)の薬も関わる部分であり、これらの薬の効果がある理由の一つです。

3.リンを制限

リンはあまりメジャーな栄養素ではありませんが、慢性腎不全を考えるうえでは非常に重要なミネラルです。慢性腎不全になると、リンの排泄能力が低下して、血液中のリンが上昇します。リンが上昇すると、カルシウムを吸収するために必要な活性化ビタミンDが減ってしまい、低カルシウム血症が起こります。

低カルシウム血症は、元気や食欲の低下を起こすますが、体はカルシウムを上げるために「上皮小体ホルモン」というホルモンを分泌します。これは、骨にあるカルシウムを溶かしてカルシウムを補給するという作用があります。これにより、血中のカルシウムが上がりますが、代わりに骨が弱くなり、病的骨折が起こりやすくなります。特に腎不全の猫ではあごの骨が溶けやすく、高齢の犬や猫のあごの骨折で多いのが腎不全による二次性上皮小体機能亢進症によるものです。

また、リンが高い状態でカルシウムが正常になってくると、カルシウムとリンが高すぎることによる全身の石灰沈着が起こることがあります。心臓や腎臓、血管にはカルシウムが沈着しやすいため、さらに腎不全が進んだり血圧が上がる原因になります。

慢性腎不全の犬や猫でこれらの変化が起こる元凶が高リン血症です。これを防ぐために腎不全フードではリン制限が行われています。それでもリンが上がってしまう動物にはリンの吸着剤(レンジアレンなど)を使うことも多いです。

4.オメガ3脂肪酸を添加

ここ最近で研究が進んでいるのが、腎臓病に対するオメガ3脂肪酸の効果です。慢性腎不全の発症や進行の要因はさまざまですが、腎臓での炎症が慢性腎不全の悪化要因として非常に重要であることがわかってきています。

魚油などに含まれるDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸は炎症を抑える効果があり、慢性腎不全の進行の抑制に効果があることがわかってきています。以前は腎不全フードの柱は低たんぱく、低ナトリウム、低リンでしたが、そこにオメガ3脂肪酸の添加という要素も含まれるようになってきました。

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まとめ

慢性腎不全のコントロールに最も大切なのは、薬や点滴ではなく食餌療法です。慢性腎不全に関しては、食事療法が薬の代わりになると言っても過言ではありません。脱水が強い場合は点滴が必要になったり、食餌療法をしていても血圧が高い場合は薬が必要になるなど、他の治療が全く必要ないというわけではありませんが、食餌療法ができなければ治療成績は上がってきません。慢性腎不全の新しい治療薬「ラプロス」が販売されても食餌療法が柱になることは間違いないと思います。

慢性腎不全と診断されたら早めに腎臓病食を食べていくことが、寿命を延ばすだけでなくQOLの改善にも非常に重要です。

早期に食餌療法を始めるために必要な多飲多尿の発見方法はこちら

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